韓国家族関係登録(旧戸籍)一覧
韓国戸籍(家族関係登録簿・除籍謄本)の解体。在日コリアンの相続事例。
- 2024.05.13(月)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 相続・遺言
前回のブログの続きになります。
韓国の除籍謄本で度々目にする『就籍』した旨の記載ですか、その一部は朝鮮戦争の争乱時に北朝鮮から韓国へ逃れてきた方たちがみずから戸籍を作ったものです。
日本の戸籍制度でも就籍手続きがありますが、棄児など親の知れない子のための制度としてして使われます。
韓国の場合、上の例のように戦争により北から逃れた人や脱北してきた人、また在日コリアンで自身が登録されるべき登録基準地(本籍地)が不明な者が『就籍(現在では家族関係登録創設)』手続きを踏んで自身の身分登録を行う訳です。
今回の事例の場合、除籍謄本を読み解くことで、この一家が『朝鮮戦争以前は北側(朝鮮)に住んでいたものの争乱のさなか何らかの事情で韓国に逃れてきた』ものと思われ、家長が韓国の役所へ届け出たことで就籍されたものと推察しました。
『就籍』の一行前にある「分家申告により本戸籍を編製」とあるのも、当時朝鮮にもあった戸籍制度下、北から逃れてきた家長(戸籍筆頭者、戸主と呼んでいた)が『就籍』申告の際に北側の戸籍がどのように編成されたのかを申述しそれがそのまま記載されたものと結論付けました。
このようなイレギュラーな除籍謄本を相続手続の際に手にしたところで素人(いや、弁護士など専門家も)では太刀打ちできず僕のような韓国身分関係手続について経験豊富な行政書士へアクセスするのが良いでしょう。
韓国戸籍(家族関係登録簿・除籍謄本)の解体。在日コリアンの相続は本当に大変ですから、、、
- 2024.05.08(水)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 帰化申請業務関連 , 相続・遺言
僕の下には日々相続に関する業務が舞い込んできます。
直接の顧客からの依頼はもちろん、弁護士や司法書士からの依頼も多数。
先日も元在日コリアン(死亡時は日本籍)が亡くなられたとのことで帰化前の韓国の書類の収集と日本語訳の依頼が。
帰化した在日コリアンの方からよく『日本国籍を取った方が相続が簡単になる』との話を聞きますがこれは全くの誤解で帰化しようが『出生時からの身分確認書類』、すなわち帰化後の日本の戸籍を含め帰化前の韓国の除籍謄本などは相続の際は必須です(帰化したほうが書類は増える!?)。
話がそれましたが、今回入手した韓国の除籍謄本を見ると被相続人含めその両親が『1950年**月**日就籍』した旨の記載が、、、
しかもその一行前には『分家申告により本戸籍を編製』した旨の記載も、、、
これは一体どういうことなのでしょう。
続きは次回へ。
在日コリアン(韓国・朝鮮)一家の韓国パスポート取得までの道のり。日本のパスポートを取るのとどちらが大変か?問題。(続きの続き)
- 2023.07.13(木)
- 国籍・家族関係登録(戸籍)
先の事例は、結果的に祖先との紐づけを断絶した『創設許可申請』により韓国への身分登録を終えた在日4世の依頼者の話でした。
この方のように『最終的に自身とその家族の登録ができれば祖先との繋がり(紐づけ)までは望まない』ケースと、『祖先から脈々と続く身分関係を事実に基づいてキッチリ整理したい』とのこだわりを捨てられない方の2種類の依頼があります。
後者の依頼や相談が来る度、僕は『国に先祖代々身内の情報を管理されているのが日本と韓国ぐらいで、韓国の家族関係登録が植民地時代に日本が敷いた戸籍制度の生まれ変わりで、そもそも日本の戸籍制度自体「天皇制度における臣民の管理」から始まっていることを承知したうえでのこだわりなのかな?』と疑問を抱きます(天皇には戸籍がありません)。
自分の親が誰で自分の祖父・祖母が誰でなど、それぞれが自分で認識していればいいこと(実際韓国には족보(族譜)と言う先祖代々の親族図を管理する風習がある)。
国家による国民管理にそれが使われているとの観点を持つと、国に対する親族情報の提供は果たして必要なのかと思ってしまします。
僕がよくするたとえ話(実話)です。
80歳を超えた在日コリアン1世が死ぬ間際に、「実はワシの本当の姓(苗字)は金ではなく李だ。故郷も慶尚道じゃなく済州道だ。戦後に友人の金君の外国人登録を譲ってもらった。その後行方知れずとなった金君になりすましてずっと日本で生きてきたんじゃ、、、』。
このような話は稀ではなく数多く存在します。その事実を知っても尚、自身の姓(성)や本貫(본관)、故郷(고향)にこだわりを持つ在日コリアンを見ると、何だか滑稽に思えてならないです。
在日コリアン(韓国・朝鮮)一家の韓国パスポート取得までの道のり。日本のパスポートを取るのとどちらが大変か?問題。
- 2023.07.12(水)
- パスポート , 国籍・家族関係登録(戸籍) , 帰化申請業務関連 , 戸籍・住民登録
当事務所で扱う業務でとても多いのが在日コリアンからの『韓国のパスポートを取得したいので手伝って!』とのオファーです。
日本の方からしたら『いや、それくらい領事館に行って自分ですれば済むのでは?』となるかと思いますが、、、在日コリアンの複雑な生態・歴史からするとそう単純なことではありません。
そもそもすでに5世代、6世代と日本に住みながら『何故か日本国籍を取っていない』特異な集団と言っても過言ではない在日コリアンですので、本国の身分登録をしていない人は数多く存在しています。
ちなみに在日1世である僕らの祖先はもちろん本国(韓国・朝鮮)で生まれているので彼らの身分登録までは存在しているはず。
問題はその後に日本で生まれた2世以降の身分登録(出生や婚姻)が本国ではできていないことです。
それなので僕の事務所に在日4世の方が相談に来た場合、依頼者自身の身分登録をやるためには遡ること
⑴その方の父母(3世)⇒2人分、
⑵その方の父母の父母(2世)⇒4人分、
について出生(×6件)、婚姻(3件)の手続きを要します。
勿論それが無事に完了した後で
⑶本人(4世)の出生
と進むわけです。
また⑴を行うためには1世の方の韓国の身分登録の捜索が必要でこの情報が入手できなければ本人(4世)が登載されるべき登録基準地(旧本籍地)が探せないのでこの依頼は暗礁に乗り上げます(解決方法は存在しますが、、)。
この他にも上記のような大量な件数の整理を行う過程で、日本の書類と韓国の登録上の『氏名』の相違、『生年月日』の相違が必ずといっていいほど露になりますので、その都度『日本の役所への追完届出』や場合によっては『韓国の家庭裁判所での訂正許可申請』など付属的な業務が要求されます。
どうですか、これらを専門家を介さず自身でされる時間的余裕・専門知識・語学力がありますか?
また『見積り』や『かかる期間』を僕が簡単に答えられないこともご理解いただけるかと思います。
韓国領事館で相続関係の書類を入手するためのプロセスについて。素人では簡単にいきません。
- 2023.05.05(金)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 相続・遺言
そういえば僕がこの仕事を始めた当初(18年前)、韓国領事館に行けば他人の戸籍謄本(当時は戸籍制度でした)も無制限で発行してもらえました。日本の法務局で不動産の謄本を取るようなイメージです。
済州道に至ってはFAXで戸籍の請求ができましたし、何とそれを国際郵便で無料発送してくれるという過剰なサービスが行われていました。
ときが過ぎ現在、本人からの委任状を持って行っても「何のために必要か?それを証明して」ととても厳しい対応を迫られます。
特に相続手続きに必要となる『特別養子証明書』や『除籍謄本』を取るためには、まず亡くなった方の死亡の届出をしないといけませんし、その方の相続財産についての証明と相続関係説明図まで提出させられます。
財産証明についてはコピーを持っていかれるので個人の資産情報を国家へ提供することになるのです。
抵抗しても無駄で「嫌なら出せません」と断られるだけです。
特に難儀なのが、兄弟姉妹間で書類が取れなくなったことです。韓国の最高裁判所の判決により、例えば兄が弟の、妹が姉の書類を取れなくなってしまいました。
親の相続ではほとんどのケースで兄弟の書類が必要ですが、両方の親が亡くなっている場合に困難が生じます。
また例外として訴訟中の場合にほとんどの書類が取れますが、日本国内での訴訟は対象外です。
何ともやりにくい状況です、、、