遺言書一覧
在日コリアンの相続。韓国/朝鮮籍者のケーススタディー(韓国法と日本法の違いについて)。
以前、私の依頼者でこんなことがありました。
亡くなったのは日本に帰化した在日2世の男性。
子どもがいないため日本人の妻との二人世帯で、苦労を掛けた妻に全ての財産を残したいと生前より話していたとのこと。
日本に帰化したのも「相続の際にスムーズに妻に全ての財産が渡るように」との意図だったと言っていたのですが、、、これがとんでもない結果を招く事態に。
前のブログで言ったとおり、相続は亡くなった方の本国法で開始されます。
遺言を書いていなかったこの男性のケースでは、日本法が適用され、法定相続人は妻と第三順位の兄弟姉妹になります。
若しこの方が帰化をしていなければ韓国法で相続が開始となります。日本法と違い、妻がいる場合は妻の単独相続となってました。
この方が「相続の際にスムーズに妻に全ての財産が渡るように」日本に帰化したにも関わらず、その意思は叶わなかったのです。これは男性の初歩的な勘違いであったと推察できます。生前奥様へ「日本に帰化したので韓国の家族とは完全に縁が切れた!」と言っていたそうですが、国籍を変えたからと言って家族関係が変化する訳ではありません。
周囲は何度も「遺言書を書いておくように」助言していたようですが、本人の思い違いが強く、一向に遺言書を書かなかったことが致命的な失敗。
このように意図せず相続財産が分散されるケース、それも今回のように譲りたくもない相手に行ってしまうケースが後を絶ちません(ちなみに今回のケースは兄弟姉妹が全て韓国に居て、その行方も分からないので残された妻は相当な困難を強いられました)。
人生最後の意思表示は、残された者のためにも明確にすることをお勧めする限りです、、、
知っていますか?相続は基本的に亡くなった方の国籍法で進められることを。知らない人が多いのでブログをとおしてご案内(在日コリアン、韓国/朝鮮籍者のケーススタディー)。
- 2024.10.30(水)
- 相続・遺言
韓国籍の方で在日1世、2世の方が高齢化、他界されて相続事案となる相談が増加しています。
亡くなられた方が帰化している場合、日本の法律によって相続が開始され、帰化されていなくて、「韓国籍」や「朝鮮籍」のままだとその国の法律により相続が開始されるルールとなっています。
しかし、「朝鮮籍」の方の場合、①動産・不動産ともに日本に存在し、②最後の住所地が日本にあると、相続は日本法で開始されます。
「韓国籍」の方の場合も、遺言により「日本法で相続する」と指定すると、日本法で相続が開始されます。
ちなみに亡くなった方が「朝鮮籍」の場合、住民票の国籍欄が「朝鮮」となっているからと言って一概に「朝鮮籍」と判断される訳ではありませんので注意が必要です。
韓国法で相続が開始されると、相続順位や相続分(相続人の取り分)で日本法と違っているところがありますので、財産を沢山お持ちの在日コリアンの高齢者には遺言書による意思表示をされることをお勧めしています。
韓国法と日本法の違いについてはまた次回に。
日本の法務省が遺言のデジタル化に向けて検討を始めました。偽造防止が課題でしょう。
- 2023.10.06(金)
- 相続・遺言
今朝の朝刊によると、遺言制度利用のさらなる普及に向けて遺言をデジタル化できるように法務省が検討をはじめた模様です。
現在の法律では、(1)自筆証書遺言、(2)公正証書遺言、(3)秘密証書遺言の3つの方式がありますが、この内誰でも簡単にできるのが自筆証書遺言ですが、その要件が厳格です。
遺言の内容を全部手書きで書かなければならないなど、、、(財産目録については手書きでなくても良い)。
スマホなどで簡単にできるような方式を作ることで、遺言制度活用の普及を狙っている模様。
当事務所にも「遺言があれば解決できたのに、、、」と思う相談がよく来ます。
遺言制度活用と同時に『遺言執行者』の指定を推奨します。
相続のことを考えて「帰化」をしたいとの在日コリアンからの相談への回答。
- 2023.01.26(木)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 帰化申請業務関連 , 戸籍・住民登録 , 相続・遺言
「帰化をしておいたら自分が死んだとき残された家族が手続き上面倒な書類(韓国戸籍等)を用意しなくてもいいので、この際帰化をしようと考えています。」
このような相談を多くいただきます。
結論から申し上げますと「帰化をすることで逆に準備する書類が増えます。」となります。
何故なら、帰化をすることで「日本の戸籍謄本」はもちろんのこと、帰化前の「本国の書類(出生から帰化までの韓国除籍謄本や家族関係登録事項別証明書類及びそれらの日本語訳)」も用意する必要があるからです。
帰化したからと言って過去の身分関係の立証が省略される訳ではないと言うことです。
また、法務局が提供しているサービスとして「法定相続情報証明制度」がありますが、一度でも外国籍であった者はこれも利用できません。
と言うことで僕がおすすめするのはやはり「遺言書を準備してください。」となるわけです。
法定相続人の一人が韓国に居たり、北朝鮮へ帰ってしまったような場合は尚お勧めします。
「自分がいつ死ぬか」は当の本人にも分からないことなので、死ぬ直前とはまさに〝今〟かもです。
日韓関係の悪化が及ぼす在日コリアンなどへの影響について。
- 2019.07.23(火)
- VISA・在留資格関連 , ただいま休憩中・・・
今までに最悪なくらい、国家間の関係悪化が表面化しているように見受けられる韓日関係。
僕の周辺でもそれを危惧する声が多く聞かれます。
特に、日本での就労や婚姻生活を求む韓国人からは、「VISAの審査が厳しくなる」や「永住権が出なくなる」などの噂が既に飛び回っています。
そんなことは無いですよ、と言ってはいるものの、かくいう僕もこれまでになく深刻に受け止めています。
実際に昨日訪れたコリアタウンでは、韓国食材販売業を営む男性から、「土日の来訪客は以前の半分に減った」との情報を得ています。
また、日曜日の昼にコリアタウンを訪れた娘は、「前に比べて全然人通れるで(歩いて行きかうことができること)」と言っていた。
一市民の感覚では、国と国との関係が悪化したらと言って、実際に行動を控える(国の意向を忖度する)ことなどありえないんじゃないかと思うのですが、そうでもないことが分かった気がしました。