相続・遺言一覧
相続手続で依頼者から望まれるもの、仕事を受ける側が望まないもの。
司法書士、弁護士、税理士等から特に<韓国絡み>の相続案件を引き受けることの多い我々ですが、引き受けた仕事の中で依頼者から『マジ助けて!』との叫び声を聞くことが多いです。
それは何かと言うと、実際にお願いしたい仕事と引き受けてもらえる仕事内容の解離によるものだ。
お金を支払って仕事を依頼する側としては『全て』をやって欲しいはず。しかし仕事を引き受ける側がそれを拒むと言うのだ。
拒まれた依頼者は仕方なく仕事を引き受ける側が望む『一部』のみを依頼して、残った作業に途方にくれる、、、
なるほど、この依頼者の気持ちは痛いほどよくわかる。何かと言うと、例えば僕の事務所へ争いのある法律相談が舞い込んだとき、僕はそれを弁護士へ引き継ぎます(僕がやると『非弁行為』と、矢のような攻撃を食らいますから、、)。毎回弁護士の初回相談には同行していますが、「次回からはご自身で」と伝えます。
しかし、次回以降も頼んでもいない『弁護士事務所での相談の報告』が毎回僕のもとに届きます。「なぜ?!」
これは『弁護士事務所の敷居の高さ』に依頼者が萎縮してしまっている証拠。(うちの事務所も同じ法律職事務所なのに、、、)
お金を払って仕事をさせる側が仕事をもらう側に気を遣う違和感!
それを言っても仕方ないので僕への『報告(愚痴を含む)』は続きます。
そんなことより今回のブログの本題はと言うと、相続の仕事のうち一番手間がかかるのが金融資産の現金化です。各金融機関にアクセスして所定の書式を入手して相続人らに署名・押印をもらい、代理人として僕が解約までを行います。証券会社の手続きになるとなお大変。周りの同業者に聞くと、この作業はほとんどの士業が敬遠してやっていない。すなわち依頼者からの仕事を一部拒絶しているという。果たしてそれでいいのだろうか、、、
そん法務事務所では、お客様の要望に従い、『かゆいところまでピンポイントで手の届くお手伝い』を心掛けておりますので、依頼したい仕事内容を細かく指示していただければ対応します。
それを言いたかっただけでした、、、
韓国にいる(と思われる)相続人探し。1年がかりで取り組んだ日本人相続人からの依頼の解決事例。~その5(最終回)~
韓国人女性弁護士のスピーディーでフットワークの軽い仕事により、韓国にいる相続人のうち1名については失踪宣告を受け、もう1名についてはその行方を知ることができました(約1年がかりの仕事でした)。
いよいよこちらから遺産分割協議案に合意してもらえるよう説得する作業が残されました。最後には遺産分割協議書への書名と実印の押印、印鑑証明書の添付までもお願いしなければなりません。
しかし、これで業務完了と行かなくなりました。
実は僕の仕事ぶりを評価してくれたのか、僕を信用して日本の遺産の名義変更の作業についても依頼者から仰せつかりました。
とても光栄でありがたい話。
ただ遺産の中に株式が含まれていて、その手続きの煩雑さを知る僕は少し後ずさり(と言っても優秀な事務員に指示することで僕の仕事は終わるのですが、、、かたじけない)。
その後、韓国人女性弁護士のフォローもあって何とか韓国の相続人が存命の間に遺産分割協議書(日韓両言語で作ったもの)への署名・押印をいただき、もちろん失踪宣告した弟の戸籍(家族関係登録簿)整理も済ませ、韓国書類の訳文も整えて、さらには韓国在住の相続人らから『日本での税務申告の委任と相続税の支払い』についてまでも合意を取り付けて、一連の僕の業務は終了したのでした。
これまで5回に渡って『日韓両国をまたいだ相続事案』についての事例を紹介しましたが、このようなケースは稀なものではなく、毎年2~3件は僕の下に舞い込んできます。短時間で解決するには専門的知識と経験の集積、法務分野に長けた専門家とのネットワークが重要であると考えますが、いかがでしょうか?
【完】
韓国にいる(と思われる)相続人探し。1年がかりで取り組んだ日本人相続人からの依頼の解決事例。~その4~
僕の知っている韓国の女性弁護士は東大留学経験もある日本語ペラペラの秀才。
早速彼女に現状報告と解決までの協働を持ちかけたところ快くOKしてくれました。
彼女は日本の案件も多くこなしていて、今回のケースについても即、解決策を示してくれました。
それによると、
『朝鮮戦争から帰っていない弟』については失踪宣告を、一方、単に『行方知れずの弟』については別の方法を提案されました。
ちなみにこの二人、先にも言いましたが韓国戸籍(家族関係登録簿)では存命となっています。
日本でしたら戸籍に紐づいている附票により現住所を把握、そこからは実際に行動して居場所を探すことができます。弁護士など専門家士業には職務上、戸籍謄本や住民票を職権で入手することが認められていますから比較的簡易にたどり着くことができます。
一方韓国には職務上請求なる権限が認められていません。
偶然にも僕が提案した方法と弁護士が考えた方法が一致したので、依頼者へ「韓国の弁護士への依頼が必須である」旨伝えその了承を得て、相続人5人の安否確認と居場所の捜索は韓国人女性弁護士へ委ねることに。
(最終的に僕の数倍の報酬を持っていくことになりますが、、、致し方ありませんでした。)
【次回へ続く】
韓国にいる(と思われる)相続人探し。1年がかりで取り組んだ日本人相続人からの依頼の解決事例。~その3~
夫を亡くした日本人女性からの依頼を受けて、夫の財産を相続する人間が<書類上>6人いることまで判明しました。
その内訳は、
[日本居住者]
妻
[韓国居住者(推定)]
弟3人、妹2人
しかし、依然として韓国に住んでいると思われる5人の行方は掴めません。
そこで夫が受け取った手紙にある電話番号(当時の自宅や職場)へしらみつぶしに電話を掛けました。
が、繋がらなかったり別人が受けたりと誰にもアクセスできません。
次に行ったのは当時の住所へ直接アクセスする方法です(これの具体的な方法は言えませんが、、)。
そこでやっと存命の妹にたどり着くことができました。
一気に解決へ向けて道が開けたと思ったのも束の間、この妹曰く「兄弟のうち、兄二人は行方が知れず、一人は朝鮮戦争から帰ってきていません」、、、
一難去ってまた一難。
そこで僕は自分の事務所オンリーでの解決をあきらめ、懇意にしている韓国の女性弁護士に助けを求める判断をくだします。【次回へ続く】
韓国にいる(と思われる)相続人探し。1年がかりで取り組んだ日本人相続人からの依頼の解決事例。~その2~
夫を亡くした日本人女性からの依頼を受けて、まずは帰化前の夫の韓国戸籍(家族関係登録簿)を入手することから始めました。
すると、夫には高齢で存命の兄弟姉妹(要約して兄弟と呼びます)が5人いることが分かりました。
行方の知れないこの兄弟を探し出して、遺産の分け方について了承を得て、遺産分割協議書に署名・捺印をもらうまでが<当面の>僕の仕事となります。
正直、手の施しようもない状況でしたが、妻が保管していた10年以上前に夫に届いた韓国からの手紙を頼りに捜索を始めました。早くしないと兄弟のうち90歳を超えている方もいるので時間がありません。
万が一、代襲相続となった場合、相続人が飛躍的に増えてしまうことが僕を焦らせます。
代襲相続とは、本来の相続人(遺産をもらう人)が亡くなってしまい、その遺産をさらに相続するシステムを言います。
相続人数が増えることすなわち、揉める要素が増えることに繋がりますから、、、
スピードとフットワークと語学力と日韓の法知識が試される壮大な依頼をどのように解決したかを、公開できる範囲でアップしてまいりますのでご期待を!【次回へ続く】