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戸籍・住民登録一覧

在日コリアンの戸籍整理(家族関係登録整理)はどこですべきか?

事務所への依頼としてその割合が増え続けている『相続についての相談』や『帰化許可申請手続』。

その前提として、韓国の身分関係(家族関係登録簿)を正当なものに整理することを求められることも多々あります。

手続は基本的には住所地を管轄する在外公館(韓国領事館)で受付してもらえます。

しかし、それ以外にも方法があり、

①在外国民家族関係登録事務所へ郵送する方法、

②登録基準地の市区町村役場(市庁・区庁・邑事務所・面事務所)へ郵送する方法

などです。

時には法院(裁判所)の許可を得なければならない手続もあり、その際は登録基準地を管轄する家庭法院へお願いすることも必要。

このブログの過去のエントリにあるように、2015年7月1日に開設された在外コリアン専門窓口へ書類を送付する方法を選択していた僕ですが、何やらここ最近先方の様子がおかしいと感じています。

韓国領事館の職員の様子がそうであるように、少々対応に?嫌がある〟ように感じてします。

在日コリアンの複雑怪奇な身分関係と、出てくる書類と韓国での身分情報との整合性の無さに嫌気がさしてのことだろうか。

日韓の狭間で両国の身分登録をそれぞれ別々に行わなければならなかった在日コリアンの特殊事情について理解してもらうのは、そう簡単にはいかないものだ。

書籍「外国人住民票の創設と渉外家族法実務」が指摘していた問題点が現実化していることについて。

2012年7月9日に廃止となった外国人登録法に代わって現在外国人住民制度が存在する。

外登法廃止に先立って、日本司法書士会連合会「外国人住民票」検討委員会が編者となって上記の書籍が発行された。
※Amazon購入サイトは⇒ここから

外国人登録原票に変わり外国人住民票となった際に想定される諸問題点を司法書士の目線から追った専門書だ。
この本で指摘されていた「外国人住民票の欠陥」が顕著になりかけている、そんな相談を先日受けた。

ある方が所持する国家資格(例えば宅地建物取引士としましょう。)を更新をしようとしたところ、身分確認のために提示した外国人住民票の『国籍・地域』欄が韓国となっていたためストップがかかった。
何故なら、その方は2013年に韓国領事館で在外国民登録をして日本の住民票上の国籍をそれまでの『朝鮮』から『韓国』へ変更していたからだ。
宅地建物取引士登録では国籍が『朝鮮』のままになっており、当然に『朝鮮』⇒『韓国』となった沿革について疎明資料を求められた。
以前の外国人登録の時であれば本人が役所で登録原票記載事項証明書を取れば一目瞭然だったろう。
また、外国人登録原票は1946.12.9の法施行後、廃棄・削除されることなく全ての記録をたどることができた代物だ。
これに対して住民基本台帳の保存期間は削除されてから5年間とすこぶる短い。

例えば、
<外国人が他の市区町村へ転出した場合、転出前の市区町村の住民票は5年経過すれば削除され、前々住所を確認できない。>
また
<氏名変更や住所移転の履歴も確認できない>
のだ。 ※<>内は書籍からの引用。

幸い、今回の相談者が国籍を『韓国』に変更したのが約2年前だったので事なきを得たのだが、5年後、10年後にこのような『外国人が自身の身分登録事項の変更の沿革』を疎明しようとしたとき、日本司法書士会連合会が指摘した問題点がいよいよ現実化することになるだろう。

PS:本年4月1日から『宅地建物取引主任者』は『宅地建物取引士』とその呼び名が変わりました。

 

在日コリアンも韓国の住民登録が可能となりました。日本へ渡ってきた韓国人も住民登録番号の復活が容易に!

報道などによると、来る1月22日より国外に居住する『在外国民』も韓国の住民登録が可能となり住民登録番号並びに住民登録カードが付与されるとのこと。
⇒環境日報記事抜粋

海外へ移住する自国民の国内での利便性向上と帰属意識の維持が目的かと思われる。
いずれにしろ、僕らのような在日コリアンも韓国内に30日以上継続して居住する目的があれば住民登録が可能となり、これまで韓国のインターネットサイトでの新規登録の際に求められていた住民登録番号が与えられる可能性が生まれたことによりそのメリットは大きいと考えられる。
しかしその反面、以前のブログ<a href=”https://www.shon.jp/blog/archives/1540″>(ポチッ‼と)</a>でも紹介したように、男子に限っては『兵役』の問題も微妙にかかわってくるので、男のお子さんが居る世帯や若い男性は注意が必要かと思う。
⇒在外国民住民登録とは?

念のため韓国の『행정자치부 콜센터(行政自治部コールセンター)』へ以下の質問をぶつけてみた。

Q.在日コリアン(特別永住者)も登録は可能か?
A.可能です。

Q.一旦30日の居住目的で韓国内のある場所へ住所を定めたが、その後出国することになった場合は住民登録番号は抹消されるのか?
A.そのようなことはありません。ただし、30日以上引き続き海外(韓国外)へ出国する場合は外務部へ出国申告されなければなりません。

Q.出国申告すると住民登録はどうなるのか?
A.韓国内で登録された居所(住所)が住民登録センターへ移管されます。再度韓国へ30日以上居住目的で入国された際にお住いの国内居所へ住所変更されることで住民登録の維持が可能です。

日本に在留する外国人(特別永住者含む)の通称名の登録及び変更の手続きが厳格化されている件に関して。

外国人特に在日コリアンの方からの相談で通称名を登録したい、または結婚にともない現在使用している日本名を夫のものに変更したいとの相談を受けることが年に数回はあります。
以前までの僕の説明は、「自宅宛に新しく使用したい通称名で届いた郵便物を持って住所地を管轄する役所へ出向いたら即日・その場で変更が可能ですよ。」でした。
しかし、ここ最近の事例を見聞きする限りこれがなかなか認めてもらえないとのこと。
調べてみるとある通達によって通称名の変更の申出に対して厳格な審査を実施していることが判明しました。

平成25年11月15日付の総務相自治行政局発信の通達では以下のような内容が記されています。(※注:一部抜粋)

『住民基本台帳の一部を改正する法律が施行され、通称については外国人住民票の記載事項とされている。今般、通称の削除・記載を繰り返すことによって、携帯電話を不正に取得していた事案が発生した。これまでも、通称については厳格な確認をしておりますが、上記事案も踏まえ、改めて留意事項を下記のとおりとりまとめましたので通知します。

1.通称を記載する際には、その要件を厳格に確認する必要があること
外国人住民票への通称の記載については、社会生活上通用していることが客観的に明らかとなる資料等の提示を複数求める等により、厳格に確認を行うこと。その資料とは、「外国人住民に係る住民基本台帳事務に関する質疑応答について」問2(※1)で示しているとおり、勤務先又は学校等の発行する身分証明書等の客観的資料を想定しており、少なくとも、本人の意思により作成したと認められる資料等は適当でない。

2.既存の通称を削除し、新たな通称を記載すること(いわゆる変更)は原則として認められないこと
通称とは、「氏名以外の呼称であって、社会生活上通用していることその他の事由により居住関係の公証のために住民票に記載することが必要であると認められるもの」である。従って、ひとたび社会生活上通用しているとされた通称が変わるということは通常は想定されないものであり、原則として認められないものである。なお、日本人が戸籍の氏名を変更する場合でも、家庭裁判所の許可が必要である等、厳格な取扱いとなっている点にもご留意いただきたい。

3.頻繁に新たな通称を記載することで、通称が悪用される可能性があること
新たな通称を頻繁に記載することは、通称の悪用に繋がる恐れがあり、ひいては、住民票の公証機能の信頼性を損なうものであるので、その取扱いには十分にご注意いただくよう今後とも引き続きよろしくお願いしたい。

※1
「外国人住民に係る住民基本台帳事務に関する質疑応答について」
問2 令第30条の26第1項に規定する「当該呼称が居住関係の公証のために住民票に記載されることが必要であることを証するに足りる資料」とはどのようなものか。
答 「国内における社会生活上通用していることが客観的に明らかとなる資料」 であり、勤務先又は学校等の発行する身分証明書等が想定される。少なくとも、本人の意思により作成したと認められる資料等は適当でない。なお、国内における社会生活上通用していることの確認に代えて、親や身分行為の相手方等について、その氏名等及び身分関係を確認する場合には、戸籍の届出受理証明書、戸籍謄本、住民票の写し等が想定される。

レアケースを処理できた時の喜びとそこに至るまでの四苦八苦。(韓国家族関係登録の謎解き)

ブログを通して一番多く問い合わせをいただくのが、『在日コリアンの韓国家族関係登録の整理手続』のお手伝い。
そのほとんどが解決困難な事案である。
当然と言っては当然だと思う。
そもそも我々のような専門家の手を借りなければならない時点で、一つは難解な事案か、若しくは何らかの理由で超特急の急ぎ案件、まれにお金に糸目をつけない方(これが一番ありがたいのだが)からの事案。
どんな事案でも取り組む姿勢は一緒だが。
中には領事館でケッチン(お断りの意味)をくらった事案も数多く存在し、それでも僕は韓国の条文とにらめっこしながら解決の人口を探るようにしている。
お客様に断りを入れた上で『ダメもと』で取り組んだ結果解決した事案も沢山あれば、韓国の裁判所職員との『心温まるメールのやり取り』で解決した事案、さらには韓国の役所の職員に頼み込んで彼らの職務権限を利用して解決した事案(これは僕のミスによるものだったが)もあった。
そう考えると韓国の公務員も僕らと同じ人間であり、遥か異国の地に住む海外同胞の差し迫った実情を理解してくれなくもないのだ。

現在取り組んでいるのは『嫡母庶子』として父の韓国戸籍に入籍したある在日コリアン男性の出生年月日訂正の手続。
そもそも嫡母庶子と言う存在自体がほんの数十年前まで存在していたことに驚きと矛盾を感じながら、とても親切にして下さる韓国の裁判所職員と喧々諤々メールと国際電話で言葉を交わしている。良い結果が出るといいのだが、、、

これからも『依頼者』の利益を最大限優先することをモットーに、彼らと許認可権者である『国や市区町村等の役所』とを円滑につなぐ潤滑油のような役割を果たしていかなけらばならないと、年初から意気込んでいるのであった。

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