判例情報一覧
暴力団排除。
ここ最近、新聞や雑誌ではこぞって暴力団に対するネガティブキャンペーンが実施されている。
マスコミが焦点を絞って狙いを定めれば、なびきやすい国民はマスコミの意のままに動きだす。
ある時は特定の宗教団体に、またあるときは特定の国家に向けられるその矢は、権力者の思いのままに突き刺さるがごとく。
今回は、過去の頂上作戦よろしくその矢は『ヤクザ組織』に向けられた。
毎日のように新聞の社会面を賑わす『○○組組長が金融機関に虚偽の書類を提出して住宅ローンを・・・により逮捕されました。』との事件記事や『芸能人の○○○○が暴力団幹部と親密交際!』との中吊り広告を目にする度に、マスメディアと国家が結託した時の集中砲火の凄まじいパワーに、一介のマイノリティー行政書士は恐怖するのであった。
民法900-4ただし書き。
日本の民法第900条第4号ただし書きには、『ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。』とあります。
結婚していない男女の子(婚外子=非嫡出子)の相続分を、結婚している夫婦間の子(嫡出子)の半分とするとした規定です。
これまでの最高裁の判例では上記規定について合憲判断がなされていましたが、先日(8月24日)大阪高裁で、「法の下の平等」などを定めた憲法に違反するとして、婚外子に同等の相続を認める決定がなされました。
嫡出子ら相手側からは特別抗告はなされず、その後確定しました。
大阪府の男性の遺産分割をめぐる裁判で、婚外子と嫡出子の配分が争点となり、大阪家裁で『合憲』の判断がなされたのちの、婚外子側による抗告に対しての決定だとのことです。
決定理由で裁判官は、
『家族生活や親子関係の実態の変容や国民意識の多様化を指摘、さらに、外国人の母と日本人の父との間に生まれた後に父から認知されても、両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めない当時の国籍法は、憲法の「法の下の平等」に反すると判断した最高裁判決にも触れ、相続が開始した時点で婚外子と嫡出子の区別を放置することは、立法の裁量の限界を超えている』
と結論づけたのでした。
損害賠償請求の裁判について。
昔、引越し業者の不注意によって大事な家具を壊され、相手側の態度に腹を立てて訴訟(少額訴訟)を起こしたことがあった。
購入額20万円で妻の嫁入り道具でもあったので、全く過失の無い当方は30万円(弁償代金及び慰謝料)を請求した。
裁判当日相手側は裁判所へも現れず、私は完全勝訴の判決を聞けると思っていた。
が、裁判官は私の算出した請求額にイチャモンを付け、相手側が来なかったにも関わらず私の全面勝訴とはならなかったのである。
その裁判官曰く、「あなたの主張する損害は通常看過すべき範囲のもので、請求する慰謝料額も社会通念上一般的なものとは言えない」との意見。
私は唖然となり裁判官に食って掛かったが、不服なら判決を出さない方法もあるとの指示に従い、あらためて別の裁判官の担当日時を調べて再度訴訟を起こすこととした。
2回目の訴訟には先方が出席した。
その時の裁判官は私の主張をおおよそで認定してくれて、1回目の裁判に出席せず私への真摯な対応をしなかった相手側の態度を非難してくださった。
それまでのモヤモヤと相手に対する怒りが、その裁判官の言葉で幾分癒された気がした。
当初の30万円の請求額には至らずも、相手方からの謝罪と賠償金の支払を受けることとなった私は、行動したことを後悔せずに済んだ。
しかし、費やした時間と労力とそれによって得た利益が比例するかどうかは疑問です。
先日、猫の悪臭による被害弁償と悪臭防止措置を求めた訴訟で、被害者側が200万円近い賠償金と悪臭防止を命じる判決を勝ち取っていた。
私の時と違って、裁判官は「受忍限度を超えている」と判断してくれたようだ。
この、「受忍限度」の判定が、裁判に踏み込むかどうかのポイントと考えるべきでしょう。
ちなみに、上記判例の根拠となった条文は、『悪臭防止法』でした。
いろんな法律があるんやな~と感じた私だった。
民法714条。
日本の民法第714条は以下のように規定している。
第712条及び第713条(いずれも責任能力について)の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。 2監督義務者に代わって責任能力者を監督する者も、前項の責任を負う。
この条文に関連する判例として、「性質粗暴な子がバットを持って他の子供の遊戯している場所に加わるにあたって親が適当の監視その他相当の注意を払った証拠がないのは、監督義務を怠ったものである。」というのがある。
直前のブログにアップした判例(サッカーボール避け転倒死亡事故)について、親の子に対する責任の重要性を実感したが、条文を読んであらためて子の監護について考えるところがあった。
なるほど判例② サッカーボール避け転倒死亡事故(損害賠償請求事件)
バイクで走行中の男性が小学校の校庭から飛んできたサッカーボールを避けようとして転倒し、その後この事故が原因となって死亡したとして、男性の遺族ら5人がボールを蹴った当時小学5年の少年と両親に対して損害賠償を求めた訴訟で、少年の両親に計約1500万円を支払うよう命じました。
地裁段階での判決で変更の可能性はあるがかなり酷な判決である。
子供の行為についてその保護者である親がどこまで責任を問われるかが争点となったのだが、3人の子供を持つ親(私のこと)の立場からすると、子供自身の身を案じるのはもちろんのこと、子供の周囲の人間の安全をも確保するべく万全の配慮が求められる世の中なのだと、あらためて思い知らされた。