本当に複雑な在日コリアンの相続問題について。
最近スポット的に増えてきている業務として、在日コリアンの相続問題についての仕事があります。
依頼の形はさまざまで、司法書士や弁護士経由で来る翻訳のお手伝いや相続関係を証明する本国(韓国)書類の収集、また相続放棄や不在者がいる場合の対処の仕方を教えて欲しいなどのメールや電話、、、
在日コリアンの1世の方たち(僕らのおじいさん・おばあさんの世代)がお亡くなりになり、それまで一生懸命に働いて成した財産をその子どもや孫、妻や兄弟達が相続するのだ。
亡くなられた方の意思を尊重すべく、手続を慎重に進めなければならない非常に責任の重い仕事だと思う。
ここでブログ読者の方にちょっとしたアドバイスをしようと思う。(ご存知の方も沢山いるでしょうが、知らない方のために書きます。)
まずは相続に適用される法律について。
被相続人(亡くなった方をこう呼びます。)の死亡時の国籍が韓国であれば基本的に韓国民法がその相続について適用されることになります。
つまり、ある在日コリアンのハラボジが遺言もせず、日本に沢山の不動産や預貯金を残して亡くなられた場合、残された子や妻は韓国の民法の定めに従って相続をすることになる。
韓国の民法と日本の民法は当然ですが全く同じ規程をおいていません。
例えば相続人と相続割合をとってみても、いくつかの違いが見られます。
ここで具体的な事例を出すと無駄に長い文書になってしまいますので割愛しますが、一つだけ簡単な例を挙げれば、、、
ある家庭で祖父が亡くなりその方に子が二人(A、B)と妻、それに妻以外の女性との間に生まれた認知した子(C)がいたとすると。
[日本の民法による相続割合]
子A:2/10、子B:2/10、妻:5/10、認知した子C:1/10
[韓国の民法による相続割合]
子A:2/9、子B:2/9、妻:3/9、認知した子C:2/9
このような割合で法定相続分が決まる。
日本の民法に比べて韓国民法は子の数によって配偶者の取り分が変わってきます。
また、嫡出子と非嫡出子で取り分の差が無い韓国民法の方が現代的だと思いませんか?
これ以外にもいくつか相違点があるため、まずはどこの国の法律がその相続に適用されるのかを知ることが大切です。