『永住者は勿論、特別永住者とて所詮外国人であることに変わりは無い』ということ。
私は在日コリアン3世(祖父母が日本に渡航して来た)ですが、いまだに国籍は日本ではありません。
韓国から最近来られた方からは、『3世代にも亘って日本に住んでいるのに、何故日本の国籍を取得しないのか?』と不思議がられます。
一方、日本の方からは、『孫さん、日本語上手ですね!』と誉められます。
そんな時、私はただ微笑むだけで返事はしません。
今回のブログのテーマは、何世代に亘って日本に住もうが、他の外国人と違って特例が多く認められている『特別永住者』であろうが、『所詮我々も一外国人であるんだな。』と感じることについてです。
新しい在留管理制度の完全実施にともなって、『みなし再入国制度』が始まりました。
これは、①有効な旅券と②在留カード若しくは特別永住者証明書若しくは外国人登録証明書(一部)を所持する中長期在留者を対象に、それまで必要とされていた再入国許可を得ずとも日本から出国して再入国できるように便宜を図ってくれる制度です。※注:一部説明を割愛していますのでご了承ください。
みなし再入国制度の実施に先立って、想定される問題点について私は何度かブログで指摘して参りました。
実は、それらが現実に起きてしまっているのです。
先日もある弁護士さんから、『永住者の方が海外にいる間に再入国許可の期限が過ぎてしまって日本に再入国できないで困っている。どうにかならないか?』との相談をいただいた。(実際は、仮上陸と言って一旦日本に帰ってきている状態。その後の審査で永住者として上陸できるかが決定する。)
では、何故その方は再入国許可期限を過ぎて帰ってきてしまったのか?
弁護士さんの話によると、その方は昨年7月9日以降に日本から海外に一時出国された永住者の方で、日本から出国される際に、①有効な旅券と②外国人登録証明書を所持された上、③1年以内に日本へ帰ってくる予定で出国されたとのこと。
ではなぜその方の再入国は認められなかったのか?
その原因は、僕が懸念していた『みなし再入国を利用するとの意思表示』の失念だったのです。
ご承知の通り、現在は『みなし再入国制度』の登場によりそれを利用した出国者と、長期(1年を超える)の海外出張や帰国日程が定まらない方用に既存の再入国許可制度も利用可能となっています。
そのどちらを選択するかは、日本への再入国を希望する外国人自身の意思にゆだねられています。
今回紹介した方は、自身では『みなし再入国制度』を利用して出国するつもりだったようですが、その意思が本人の失念(うっかり)により表示されていなかったのです。
すなわち、日本から出国する際に記入する再入国用EDカード(再入国出国記録カード)に新しく設けられた『みなし再入許可による出国を希望します』の欄へのチェックを怠ってしまっていたのです。
最悪なのが、この方の再入国許可の期限が出国時には『一定の期間』生きていたことです。(反対に再入国許可の残り日数が1日や2日だと気付いていたはず!)
このチェック一つで、この方の日本での永住権の行方が変わっていたのです。
何とも嘆かわしいことですが、このような事例は今後、否!現在も多数発生していると思われます。
この事例以外にも、再入国許可期限までに帰国できなかったとの理由で特別永住者としての身分を失った方からの電話やメール(多くはアメリカから)が、年に数回寄せられています。
『自分達は外国人なんだ!』との認識を、永住者は勿論のこと、特別永住者の皆さんもしっかり持つ必要があります。