在留特別許可。
入管法54条の「法務大臣の裁決の特例」では、以下の様に定めている。(注:条文抜粋です) 法務大臣は、容疑者(オーバーステイ等)が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。
1 永住許可を受けているとき。
2 かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。
3 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。
4 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。
この条文の存在により、多くの不法滞在外国人が日本で正規在留者として復活を果たすことが出来たことだろう。
私も、「止むを得ない事情により日本を離れることが出来ずに不法在留をすることとなった」外国人家族や外国人配偶者を沢山見てきた。
業務として、彼らが行う行政や入管への手続をお手伝いしたこともある。
現在では、入管側でも慎重に調査をして厳格な判断を下しているようで、いわゆる「審査期間」は短くて1年、長いケースだと2年を要することもあるようだ。
その間、不法滞在者は国民健康保険へ加入出来ず、また、特別な場合を除いて就労活動も認められない。
何より、日本からの出国が制限されるため、在留特別許可、すなわち日本人配偶者や永住者との日本での結婚生活の継続を取るか、それとも本国の親の死に目に立ち会うことを取るか、の選択を迫られることもある。
こんな究極の選択を、長い歴史を積み重ねて自分達のより良い暮らしを求め続けてきた人間が、同じ人間に課している光景を見るたび、人間の無能さを痛感せざるを得ない。
今日、うれしい連絡が来た。
上で述べた「在留特別許可」により、日本での正規滞在者としての復活を果たした女性からだ。
彼女には、是非とも日本で幸せな暮らしを送っていただきたい。
何よりも、この間(彼女の場合、審査(調査)に2年の時間を費やした)会えなかった本国の家族に、早く会いに行って欲しい。